2日目
成長を感じる瞬間に出会うは、子育てをしていればよくあることだろう。
それは新鮮な驚きとともに、ほんの少しの寂しさを伴って訪れる。
きっと、親の手から離れていっていることが、想像できてしまうからだろう。
昨日は保育園でお遊戯会がありました。
土曜日だったからというのもあるのか、本来行くはずのない保育園に戸惑い、大泣き。
そういえば入園式もそんな感じだったなと思い出し、まだまだこういうものは難しいのかなと思っていました。
大いに泣く我が子の迫真の演技を、周りの親に謝りながら見るイメージをかためていたのですが、現実はそう思い通りにいきません。
なんと、座っているのです。
とても無愛想な顔で、とても納得がいかない顔で、とても泣きそうな顔で。
それでも座っているのです。
保育士のプロの技を見せつけられました。
きっと、子供は納得いかずとも、先生に座ることを求められたので渋々従っているのでしょう。
当然、会の冒頭で名前を呼ばれても、ムスーっとしてピクリとも動きません。
それはそれでまあいいや、と思いました。
自宅でもよくあることですし、誰に迷惑をかけることでもない。
ただ、愛想の悪い子があそこに座っていると思ってもらえるだけです。
本当のあの子は、まだまだ親にしか分からないのだと、ただそれだけで終わるはずでした。
結論、何が起きたのかと言うと。
突然踊り出したのです。
途中までは横の子を見て、立っているか座っているかだけを合わせていました。
しかし、自分のお気に入りの曲が流れ出した瞬間、何かを思い出したのでしょう。
そうか、ここにいる目的はお遊戯会なのだと。
私はアイドル赤ちゃんとして、生を育んできたのだと。
そこからは独壇場です。
他の子は律儀に自分の立ち位置をしっかりと守っているのを横目に、縦横無尽に舞台を駆け回ります。
踊りながらです。
周りの親も思わず笑ってしまうほど、とてもチャーミングに。
そうか、あの子はもう親だけが知っている子ではなくなったんだね。
自分という表現手段を、より深めることができたんだね。
ただ、それだけの話なんですが、これが瞬間なのでしょう。
お遊戯会の後もスムーズに、私の役目は終わったと言わんばかりにすぐ帰る。
改めて保育園という場所のありがたさと、成長の喜びの嬉しさに触れました。
そんな昨日は過ぎ去って、今日という新たな1日がやってくる。
今日も頑張りましょう。